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PL(損益計算書)とは?見方・読み方・利益の流れを初心者向けにやさしく徹底解説
2026年04月01日
PL(損益計算書)とは?見方・読み方・利益の流れを初心者向けにやさしく徹底解説 PLとは、Profit and Loss Statement の略で、日本語では 損益計算書 と呼ばれます。会社の決算書の中でも、とてもよく使われる資料で、「その会社が一定期間にどれだけ売上を上げ、どれだけ費用がかかり、最終的にどれだけ利益または損失を出したのか」を表す書類です。決算書にあまりなじみがない方でも、「売上」「利益」「赤字」といった言葉は耳にする機会が多いため、BSよりもPLのほうがイメージしやすいと感じることもあるかもしれません。ただ実際には、PLには複数の利益が段階的に並んでおり、それぞれ意味が異なりますので、きちんと理解すると会社の見え方が大きく変わってまいります。 PLのいちばん大切な役割は、会社の 稼ぐ力 を見える形にすることです。たとえば、売上が大きくても費用がかかりすぎていれば、しっかり利益は残りません。逆に、売上規模がそれほど大きくなくても、原価や経費をうまく管理していれば、十分に利益を出している会社もあります。そのため、PLは単に「売上が多いか少ないか」を見る表ではなく、「その会社は本業でどれくらい利益を出せているのか」「本業以外も含めて最終的にどれくらいお金を残せたのか」を確認するための表なのです。経営者にとってはもちろん、経理担当の方、就職活動中の学生さん、転職を考えている方、取引先の安全性を見たい営業担当の方にも、とても役立つ資料です。 この記事は、「PLは何となく分かるけれど、営業利益や経常利益の違いが曖昧」「売上が伸びているのに、なぜ利益が減るのかしら」「PLを見るとき、どこから見ればよいのか知りたい」と感じている方に向いています。数字が苦手な方でも読み進めやすいように、まずはPLの全体像を整理し、そのあとで売上から最終利益までの流れ、利益ごとの意味、分析ポイント、よくある誤解、実務での活かし方まで、順番にやさしくご説明いたします。カフェ経営のような身近なサンプルも交えながら、できるだけイメージしやすくお伝えしてまいります。 先に結論を申し上げると、PLを読むうえで大切なのは、最終利益だけで判断しないこと です。PLには、売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益といった段階があり、それぞれ「どこで利益が出て、どこで減っているのか」を教えてくれます。たとえば、本業は好調なのに一時的な特別損失で最終利益が落ちている会社もありますし、逆に本業はあまり強くないのに、本業外の収益で利益を保っている会社もあります。その違いを見分けるために、PLは段階的な構造になっているのです。 ここからは、まずPLの基本を整理し、そのあとでPLに並ぶ各利益の意味、読み方のコツ、初心者がつまずきやすいポイント、経営や仕事でどう活かせるかまで詳しく見てまいります。読み終わるころには、PLが単なる「儲かった・儲からなかった」を示す表ではなく、会社の収益構造や強み、弱みまで映し出す、非常に奥深い資料だと感じていただけるはずです。 PLとは何か|会社の「一定期間の成績表」 PLの大きな特徴は、一定期間の活動結果を表す ことです。たとえば1年間、あるいは四半期の間に、会社がどれだけ商品やサービスを売り、そのためにどれだけ費用を使い、最終的にどれだけ利益を残したかをまとめたものがPLです。BSが決算日時点の状態を示す「写真」だとすれば、PLはその期間の経営活動をまとめた「成績表」や「活動記録」のようなものです。この“期間の表”という感覚を持つと、PLの役割がとても理解しやすくなります。 会社は日々、商品を仕入れたり、サービスを提供したり、広告を出したり、人件費を支払ったりしながら事業を続けています。その結果として売上が生まれ、同時にさまざまな費用も発生します。PLは、それらを整理して、「いくら売って、いくら使って、いくら残ったのか」を示します。売上が増えたとしても費用がそれ以上に増えていれば利益は減りますし、売上が横ばいでも費用管理がうまくできていれば利益が増えることもあります。つまり、PLは会社の経営の巧拙をかなり素直に映し出す表でもあるのです。 個人の暮らしにたとえるなら、PLは家計簿の収支に近いイメージです。毎月の給料や副収入があり、家賃、食費、水道光熱費、通信費などの支出があり、その差額としてどれだけお金が残ったかを見るのと似ています。ただし、会社のPLはもう少し細かく分かれていて、「本業ではどれくらい稼げたか」「本業以外の利息などを含めるとどうか」「一時的な損失を含めるとどうか」といった具合に、利益の種類を段階的に見られるようになっています。 この段階的な構造があるからこそ、PLはとても便利です。単に最終利益だけを見ていると、その会社の本当の姿を見誤ることがあります。本業でしっかり稼げているのか、経費が重すぎないか、借入負担が大きすぎないか、一時的な特殊要因が利益に影響していないか。こうしたことを見極めるために、PLは順番に利益を積み上げたり差し引いたりしながら作られているのです。 PLの基本構造|売上から最終利益までの流れ PLは、基本的に 売上から始まり、さまざまな費用を順に差し引いて利益を計算する 形でできています。この流れを押さえることが、PL理解の第一歩です。最初に売上高があり、そこから売上原価を引いて売上総利益を求めます。さらに販売費及び一般管理費を引くと営業利益になります。その後、本業以外の収益や費用を加減して経常利益を出し、特別利益や特別損失を反映して税引前当期純利益へ進みます。最後に法人税等を差し引いたものが当期純利益です。 この流れは、会社の利益をいろいろな角度から見るために工夫されたものです。いきなり最終利益だけを示すのではなく、「商品の販売そのものではどれだけ儲かったのか」「本業を運営するための経費を引くとどうか」「本業外の収益や費用まで含めるとどうか」「一時的な特別要因を入れるとどうか」と順番に見ていくことで、どこに強みがあり、どこに課題があるのかが分かりやすくなります。 たとえば、売上が大きく伸びていても、売上原価が上がりすぎていれば売上総利益はあまり増えません。また、売上総利益が十分にあっても、人件費や広告費、家賃などの販管費が重ければ営業利益は薄くなります。営業利益は良いのに、借入金の支払利息が大きく経常利益が低いこともありますし、経常利益までは好調でも、固定資産の売却損や減損損失など特別損失が出て最終利益が落ちることもあります。このように、PLの段階構造は会社の収益の流れを細かく映し出してくれるのです。 初心者の方は、まず「PLは利益を一段ずつ見ていく表」と覚えると理解しやすくなります。そして、それぞれの利益が何を意味するのかを知ると、数字が単なる記号ではなく、経営の実態を語るものとして見えてきます。ここからは、PLに登場する主な利益について、ひとつずつ丁寧に見てまいりましょう。 売上高とは何か|会社が生み出した収入の入口 PLの最初に出てくるのが 売上高 です。売上高は、会社が商品やサービスを提供して得た収益の総額です。もっとも分かりやすい数字であり、会社の規模感や事業活動の広がりをイメージしやすい項目でもあります。たとえば、小売店であれば商品の販売額、飲食店であれば料理や飲み物の提供による収入、IT企業であればシステム開発や利用料収入などが売上高になります。 ただし、売上高が大きいことがそのまま優秀というわけではありません。売上が大きくても、そのために多くの原価や経費がかかっていれば利益は残りません。逆に、売上規模はそこまで大きくなくても、利益率の高いビジネスモデルであれば十分に魅力的な会社です。そのため、売上高はあくまで入口の数字であり、そこから先の原価や費用との関係を見ていくことが大切です。 たとえば、あるカフェの年間売上高が2,000万円だったとします。一見するとしっかり売れているように見えますが、食材費や仕入れ、家賃、人件費がどれくらいかかっているかによって、最終的に手元へ残る利益は大きく変わります。売上高だけを見て「この会社は順調」と決めつけるのではなく、その後の利益の流れまで確認することがPLを読む基本です。 また、売上高を見るときには、前年と比べて伸びているか、横ばいか、減っているかという変化も大切です。売上が伸びている会社は成長している可能性がありますが、その伸びに無理がないか、利益も伴っているかを見る必要があります。反対に、売上が少し減っていても利益率が改善しているケースもあります。売上高は目立つ数字ですが、それだけで評価せず、PL全体の流れの中で位置づけることが重要なのです。 売上原価と売上総利益|商品やサービスそのものの採算を見る 売上高の次に重要なのが 売上原価 です。売上原価とは、売れた商品や提供したサービスに直接対応するコストのことです。たとえば、小売業なら仕入れた商品の原価、製造業なら材料費や製造に直接かかる費用、飲食店なら食材費などが該当します。サービス業でも、外注費など直接サービス提供に必要な費用が含まれることがあります。つまり、売上原価は「売上を作るために直接かかった費用」と考えると分かりやすいです。 売上高から売上原価を引いたものが 売上総利益 です。これは「粗利」と呼ばれることも多く、商品やサービスそのものがどれだけ利益を生んでいるかを見るための大切な数字です。売上総利益がしっかり確保できていれば、その後の経費をまかなって営業利益を残しやすくなります。反対に、売上総利益が薄いと、少し経費が増えただけで利益が出にくくなります。 たとえば、先ほどのカフェの売上高が2,000万円で、食材費や仕入れ原価が700万円だったとすると、売上総利益は1,300万円です。この1,300万円が、家賃、人件費、広告費、水道光熱費などを支払う原資になります。もし同じ売上高でも原価が1,000万円かかっていれば、売上総利益は1,000万円に下がり、経費負担が相対的に重く感じられるでしょう。つまり、売上総利益は「商売の基本的な採算」を見る数字なのです。 売上総利益を見るときは、金額だけでなく 売上総利益率 にも注目すると理解が深まります。売上総利益率は、売上に対して粗利がどれくらいあるかを示す考え方です。同じ売上規模でも、粗利率が高い会社と低い会社では、収益構造がまったく違います。ブランド力があり高い価格で売れる会社、仕入れや生産効率が良い会社は、売上総利益率が高くなりやすい傾向があります。逆に価格競争が厳しい業種では、売上総利益率が低くなりやすいです。この違いを見るだけでも、その会社のビジネスモデルの特徴がかなり見えてまいります。 販売費及び一般管理費と営業利益|本業でどれだけ稼げているか 売上総利益から差し引かれるのが 販売費及び一般管理費、いわゆる販管費です。これは商品やサービスを売るため、そして会社を運営するために必要な経費のことです。たとえば、人件費、広告宣伝費、家賃、通信費、水道光熱費、旅費交通費、消耗品費、減価償却費などが含まれます。売上原価が「売上に直接ひもづく費用」だとすれば、販管費は「事業全体を動かすための費用」と考えると分かりやすいです。 売上総利益から販管費を引いたものが 営業利益 です。営業利益は、会社の本業でどれだけ利益を出せているかを示す、とても重要な数字です。投資家や金融機関、経営者が特に重視する利益のひとつであり、「本業の採算」を見る中心的な指標といえます。売上が大きくても営業利益が薄ければ、本業の効率に課題があるかもしれませんし、売上が少し伸び悩んでいても営業利益が安定していれば、本業は堅実だと考えやすくなります。 カフェの例で見てみましょう。売上総利益が1,300万円あり、そこから人件費500万円、家賃240万円、水道光熱費60万円、広告費50万円、その他の経費150万円がかかったとすると、販管費は合計1,000万円です。この場合、営業利益は300万円になります。この300万円が、本業で稼いだ利益です。つまり、カフェの営業そのものは十分に利益を生んでいると読むことができます。 営業利益を見るときに大切なのは、金額だけでなく、その会社の事業モデルと照らして妥当かどうかを考えることです。たとえば、急成長を目指して広告費を積極的に使っている会社では、一時的に営業利益が薄く見えることもあります。反対に、営業利益が高くても、必要な投資や人材採用を抑えすぎているだけかもしれません。そのため、営業利益は非常に重要である一方で、数字だけを見て単純に良し悪しを決めるのではなく、その背景や戦略も考えることが大切です。 営業外収益・営業外費用と経常利益|本業以外も含めた通常の収益力 営業利益の次に登場するのが、営業外収益 と 営業外費用 です。営業外収益とは、本業以外から継続的に生じる収益のことです。受取利息、受取配当金、雑収入などが代表例です。一方、営業外費用は、本業以外で継続的にかかる費用で、支払利息や為替差損などが含まれます。ここでは、本業そのものではないけれど、通常の企業活動の中で発生する収益や費用を扱います。 営業利益に営業外収益を足し、営業外費用を引いたものが 経常利益 です。経常利益は、本業に加えて財務活動なども含めた「通常の会社活動全体でどれだけ利益が出ているか」を示します。営業利益が本業の力を見る数字だとすれば、経常利益は本業以外も含めた日常的な収益力を見る数字といえるでしょう。金融機関や経営者にとっても、継続的な事業運営の力を見るうえで大切な利益です。 たとえば、カフェの営業利益が300万円あったとしても、銀行借入の支払利息が30万円かかり、他方で預金利息などの営業外収益がほとんどない場合、経常利益は270万円ほどになります。この場合、本業自体はしっかり利益を出していても、借入負担によって利益が少し削られていることが分かります。反対に、投資有価証券から配当収入がある会社などでは、営業外収益が経常利益を押し上げることもあります。 経常利益を見るときには、「営業利益との差」がなぜ生まれているのかを考えると理解が深まります。営業利益より経常利益がかなり小さいなら、支払利息など本業外の負担が重いかもしれません。反対に、経常利益が営業利益より大きいなら、本業外の収益が支えている可能性があります。ただし、本業の強さを知りたいなら営業利益のほうがより直接的ですので、経常利益だけで判断せず、営業利益とセットで見ることが大切です。 特別利益・特別損失と税引前当期純利益|一時的な出来事を見分ける 経常利益のあとには、特別利益 と 特別損失 が出てくることがあります。これらは、日常的な企業活動とは少し性質が異なる、一時的・臨時的な収益や費用です。たとえば、固定資産の売却益、保険差益、災害損失、減損損失、事業再編に伴う費用などが代表例です。つまり、「毎年普通に発生するものではない出来事」を整理するための区分だと考えると分かりやすいです。 経常利益に特別利益を加え、特別損失を差し引いたものが 税引前当期純利益 です。これは、法人税などを差し引く前の最終的な利益に近い数字です。ただし、ここには一時的な特別要因が含まれているため、この数字だけを見て会社の通常の収益力を判断するのは少し危険です。継続的な稼ぐ力を見たいなら、営業利益や経常利益のほうが参考になりやすいこともあります。 たとえば、ある会社が本業では安定して利益を出していて経常利益が500万円あったとしても、使わなくなった設備の減損損失を300万円計上すれば、税引前当期純利益は200万円に下がります。この場合、最終的な利益は小さく見えますが、本業が急に悪くなったわけではなく、一時的な特別損失の影響が大きいと理解できます。反対に、土地の売却益など特別利益が入って一時的に利益が膨らむこともあります。 この段階を見るときは、「この利益や損失は来年も続くものかしら」という視点を持つとよいでしょう。特別項目は、一度限りで終わることも多いため、会社の継続的な実力とは切り分けて考えることが大切です。PLは最終利益だけではなく、その途中にどんな性質の収益や費用が入っているかを見ることで、会社の状態をより正確に理解できるようになっています。 法人税等と当期純利益|最終的に会社に残る利益 税引前当期純利益から、法人税、住民税、事業税などの 法人税等 を差し引いたものが、当期純利益 です。これは一般に「最終利益」としてよく注目される数字で、その期に会社が最終的にどれだけ利益を残せたかを示します。ニュースや決算短信などでも「最終利益が増加」「最終赤字に転落」といった表現が使われることが多く、もっとも知られている利益かもしれません。 当期純利益は、会社がその期間に生み出した成果の総決算ともいえる数字です。この利益は、将来の配当原資になったり、利益剰余金として会社内部に蓄積されたりします。つまり、PLで生まれた最終利益は、翌期以降のBSの純資産を育てる方向へつながっていくのです。その意味で、当期純利益は「会社の今期の成果」であると同時に、「将来の体力の源」にもなります。 ただし、先ほども触れたとおり、当期純利益だけで会社を判断するのは危険です。特別利益や特別損失の影響を大きく受けることがありますし、本業以外の収益や費用も含まれています。たとえば、不動産売却益で最終利益が大きく見えても、本業の営業利益が弱ければ、来期以降の継続力には注意が必要かもしれません。逆に、一時的な損失で最終利益が落ちても、本業がしっかりしていれば過度に悲観しなくてよい場合もあります。 そのため、当期純利益はとても大切な数字ではありますが、必ず営業利益や経常利益と並べて見たいところです。「最終的にいくら残ったのか」と「通常の事業活動でどれくらい稼げているのか」の両方を見ることで、PLの理解はぐっと深まります。最終利益はゴールですが、そこへ至る途中経過にこそ、会社の実力が表れやすいのです。 PLの見方|初心者が最初に確認したいポイント PLを前にすると、項目が多くてどこから見ればよいか迷ってしまうことがあります。けれども、最初からすべてを細かく読む必要はありません。初心者の方がまず確認したいのは、売上高、売上総利益、営業利益、経常利益、当期純利益 の流れです。この5つを押さえるだけでも、その会社がどこで利益を生み、どこで利益を落としているかの大まかな構造が見えてきます。 まず売上高を見て、その会社の事業規模や成長の方向性をつかみます。次に売上総利益を見ることで、商品やサービスそのものの採算が分かります。営業利益を見ると、本業全体として利益を出せているかが見えます。経常利益では、本業外の収益や費用を含めた通常の稼ぐ力がつかめます。そして当期純利益で、最終的にどれだけ残ったかを確認します。この順番で見ると、PLはかなり整理しやすくなります。 大切なのは、前年との比較です。単年だけ見ても、その数字が良いのか悪いのかは分かりにくいことがあります。けれども、前年と比べて売上はどう変わったか、営業利益率は改善したか、経常利益は安定しているかを見ると、その会社の変化が見えてまいります。売上が伸びているのに営業利益が減っているなら、原価や販管費が膨らんでいるのかもしれません。逆に、売上が横ばいでも営業利益が増えていれば、経費管理が改善している可能性があります。 さらに、可能であれば同業他社との比較も有効です。売上総利益率や営業利益率は業種によって大きく異なるため、単独では判断しにくいことがあります。飲食業、小売業、ソフトウェア業、製造業では収益構造が違いますので、「その業界の中で見てどうか」という視点があると理解が深まります。とはいえ、最初の段階ではまず自社や一社の決算書をしっかり読むところから始めれば十分です。PLは慣れてくると、会社の性格が数字から見えるようになってまいります。 PLでよくある誤解|黒字なら安心、売上増なら順調とは限らない PLを見るときに多い誤解のひとつが、「黒字なら安心」「赤字なら危険」と単純に考えてしまうことです。もちろん黒字は望ましいですし、赤字は注意が必要ですが、それだけで会社の実態を決めつけることはできません。たとえば、一時的な特別利益で黒字になっているだけかもしれませんし、将来への投資を強めた結果、一時的に赤字になっている場合もあります。PLは、利益の中身を見てこそ意味があります。 また、「売上が増えている会社は順調」と考えやすいですが、これも慎重に見たいところです。売上の拡大と同時に原価や広告費、人件費が大きく膨らんでいれば、営業利益はかえって悪化することがあります。たとえば、値引きをして無理に売上を伸ばしているなら、売上高は立派でも利益率が下がってしまうかもしれません。売上の成長は確かに重要ですが、それがしっかり利益につながっているかを確認することが大切です。 逆に、売上が少し減っていても、利益が改善している会社もあります。採算の悪い事業を縮小したり、無理な値引きをやめたり、販管費を適切に見直したりした結果、営業利益が回復するケースもあります。このように、PLでは「売上の量」だけでなく「利益の質」を見ることが非常に重要です。特に営業利益は、本業の健全さを知るための大切な手がかりになります。 さらに、「当期純利益が一番大事だから、それだけ見ればよい」と考えるのも少し危険です。最終利益は確かに重要ですが、その背景に特別要因や本業外要因があると、継続的な実力を見誤ります。PLは段階的な利益構造を持っているからこそ意味があります。表面の数字に飛びつくのではなく、「どこで増え、どこで減ったのかしら」と流れを追って読むことが、PL理解のいちばん大切な姿勢です。 PLとBS・CFのつながり|PLだけでは分からないこともある PLはとても重要な表ですが、これだけですべてが分かるわけではありません。会社の全体像を見るには、BSやCFと合わせて読むことが大切です。PLはあくまで「一定期間にどれだけ利益が出たか」を示すものであり、手元に現金がどれだけあるか、借入がどれだけ残っているかまでは直接分かりません。利益は出ていても資金繰りが苦しい会社もありますし、逆に一時的に利益が落ちても財務体質が強い会社もあります。 PLで生まれた当期純利益は、会社に内部留保として残ればBSの純資産を増やしていきます。つまり、PLの成果はBSの体力につながっていくのです。一方で、PL上の利益と現金の増減は一致しません。売上が計上されても入金がまだなら現金は増えていませんし、減価償却費のように費用計上されても現金支出を伴わない項目もあります。そのズレを示すのがCFです。ですから、PLの黒字だけを見て安心するのではなく、CFで営業活動によるキャッシュ・フローも確認したいところです。 たとえば、売上が増えてPLは黒字でも、売掛金が急増して現金が回収できていなければ、資金繰りは苦しくなることがあります。これが、いわゆる黒字倒産につながる場合もあります。PLだけ見ていると「儲かっているのに、なぜお金が足りないのだろう」と不思議に感じるかもしれませんが、BSやCFを合わせて見ると理由が見えてきます。PLは収益力を見る表、BSは体力を見る表、CFは現金の流れを見る表として、役割を分けて理解するとよいでしょう。 そのため、PLを詳しく読めるようになることはとても大切ですが、最終的には「PLで何が起きているかをBSとCFにつなげて考える」ことが、より深い財務理解につながります。まずはPL単体で利益構造をつかみ、そのうえで「この利益は本当に現金につながっているか」「この利益は純資産を育てているか」と広げて考えると、決算書がぐっと立体的に見えてまいります。 実務でどう役立つか|経営・仕事・就職活動に生きるPLの知識 PLの読み方が分かると、経営や仕事の判断がかなりしやすくなります。経営者であれば、売上拡大だけでなく「どの商品が利益を生んでいるか」「どの経費が重くなっているか」「本業の採算が本当に良いのか」を把握しやすくなります。たとえば、売上が伸びているのに営業利益が増えないなら、値引きが多すぎるのか、広告費が膨らみすぎているのか、人員配置に無理があるのかを考えるきっかけになります。PLは、経営改善の出発点として非常に有効です。 経理や財務の担当者にとっても、PLの理解は基本中の基本です。単に仕訳を入力するだけでなく、その結果としてPLのどこに影響が出るのかが見えるようになると、業務の意味がぐっと深まります。経費精算ひとつを取っても、それが販管費のどこに入り、営業利益へどう影響するのかが分かれば、数字への感度が高まります。予算管理や部門別損益の把握にもつながりますので、社内での説明力も増してまいります。 営業職や企画職でも、PLの知識は大きな武器になります。たとえば、「売上を増やす提案」だけでなく、「粗利率の高い商品を広げる提案」「販管費効率を踏まえた販促企画」まで考えられるようになると、提案の質が一段上がります。上司や経営陣から見ても、売上だけでなく利益構造まで理解している人は、とても信頼されやすいものです。数字が読めるということは、会社の経営課題を理解できるということでもあります。 就職活動や転職活動でも、PLの見方は役立ちます。企業研究のときに売上高だけを見るのではなく、営業利益率や経常利益の安定性まで見られると、その会社の強みや経営の安定感が分かりやすくなります。面接でも、「御社は売上成長だけでなく営業利益も安定しており、本業の収益力が高いと感じました」といった視点があると、企業理解の深さが伝わりやすいです。PLは会計の知識であると同時に、会社を見る目を養うための大切な道具でもあるのです。 まとめ|PLは会社の稼ぐ力を映す成績表 PL、すなわち損益計算書は、会社が一定期間にどれだけ売上を上げ、どれだけ費用を使い、最終的にどれだけ利益を残したかを示す表です。売上高から始まり、売上原価を引いて売上総利益を求め、販管費を引いて営業利益を出し、さらに営業外収益・費用、特別利益・損失、法人税等を反映して当期純利益へと至ります。この流れを理解すると、PLは単なる数字の一覧ではなく、会社の収益構造を順番に読み解くための地図のように見えてまいります。 特に大切なのは、最終利益だけで判断しないことです。売上総利益を見ると商品やサービスそのものの採算が分かり、営業利益を見ると本業の強さが分かります。経常利益を見ると本業外も含めた通常の収益力が見え、特別項目を見ると一時的な出来事の影響も分かります。このように、PLは途中の利益にこそ多くの情報が詰まっています。だからこそ、段階ごとに丁寧に見ることが大切なのです。 また、PLはBSやCFとつながっており、PLで生まれた利益はBSの純資産を育て、現金とのズレはCFで確認する必要があります。PLだけでは分からないこともありますが、それでも会社の「稼ぐ力」を知るうえで中心になるのがPLです。どの商品や事業が利益を生んでいるのか、どこで利益が削られているのかを知るために、PLはとても大きな力を持っています。 はじめは項目の多さに戸惑うかもしれませんが、まずは「売上」「粗利」「営業利益」「経常利益」「最終利益」の流れを押さえるところから始めてみてください。それだけでも、決算書の見え方は大きく変わります。PLが読めるようになることは、数字に強くなるというだけでなく、会社の実力や課題を自分の目で見抜けるようになることでもあります。会社を見る力を育てたい方にとって、PLの理解はとても心強い第一歩になるはずです。
損益計算書(PL)
売上高
売上原価
株式会社greeden